デジタルマーケターなら知っておきたいEU一般データ保護規則(GDPR)に関する事柄 【Mark Aspillera 2018年6月7日】

「この度弊社のプライバシーに関する方針に変更が加えられました…」

過去2,3週間の間にソフトウェアを扱う企業や各種サービス提供者からこのような文章の電子メールを受け取られた方も多いのではないでしょうか。このようなプライバシー関連の方針変更を知らせるメールが増えた理由の背景には、EUが2018年5月25日付で一般データ保護規則(以下、GDPR)が施行されたことがあります。

BrightEdgeが送信したGDPRに関する電子メールの例

GDPRでは、EU加盟国のデータやプライバシーを保護する法律を標準化することを目指しています。GDPRが施行されたことによって、ソフトウェア製品や、ウェブサイト、その他GDPRが対象としている物事を扱う多くの企業が、GDPRの法遵守のために一斉に対応に追われています。

しかし現状としては、デジタルマーケティング キャンペーンを展開する上でGDPR規制は良い影響を与えるのではないかと考えられています。なぜならGDPRがきっかけとなって、読み手が、自社が発行するニュースレターの受け取りをはじめ、製品のデモ使用の計画や、その他のマーケティング活動などに本当に興味を持っているのか、より透過性の高いデータを手に入れることができるからです。

今回の記事では、GDPR規制によってマーケティングにどのような利点があると考えられているのかご紹介し、法律またマーケティングの観点から必要な変更点をどのように加えるべきか考えていきたいと思います。

GDPRとは?

GDPRは当初2016年に制定されましたが、2018年の5月の施行後、法的に効力を持つようになりました。GDPR施行の主な目的として、EU加盟国の市民がオンライン上にある個人データを自身でコントロールできるようにすること、またデータ保護のために遵守すべき共通した法規制を整えることによって、EU内での国際事業を促進することなどを目指しています。

GDPRの主な要件の内、ウェブマーケターに影響を与える可能性の高い項目は以下の通りです:

  • ユーザーが業者側に対して直接的に同意した場合を除いて、ユーザーの個人データを扱ってはならない。
  • ユーザーは、自身のデータがどの程度回収されているのか通知を受けなければならない。
  • ユーザーは、ウェブサイトまたはプラットフォームで回収された個人データや、また業者が当該データをどのように利用しているのかを表す文書にアクセスする権利を有する。
  • 削除権(別名:忘れられる権利):EU加盟国の市民は、いついかなる時も業者に対して自身の個人データの消去を依頼する権利を有する。

GDPRはデジタルマーケティングにとって痛手となるか?

GDPRがデジタルマーケティングに悪影響を与えるのではないかという考えは、この規制が目指す中心的要件として、Eメール キャンペーンやその他のマーケティング/販売アウトリーチ活動の際に、業者が特定のオプトイン型メッセージをユーザーに見えるように表示することを義務付けていることが発端となっています。

例えば、ユーザーがウェビナーに参加してもらうために、ランディングページに登録フォームを設ける場合、EU加盟国のユーザーは、たとえウェビナーに参加するために登録フォームを入力/送信したとしても、自動的にメーリングリストに自動的に登録されることに同意しているとは捉えられなくなったということです。今後は、登録フォーム(またサイト上にあるあらゆるフォームも含む)に、「ユーザーが明示的に申し込みしているフォーム以外のお知らせがある場合は、ユーザーの情報を使用して通知を受けることを希望する」という旨をユーザーが選択できるようなフィールドを設ける必要があります。以下の画像がその一例です。

GDPRを考慮したウェブフォームの例

ユーザーをデータベースに登録する前に、このようにもう一枚いわば「壁」ができたことによって、企業にとってのリードの総数が減少するのではないかという懸念はぬぐい切れません。

GDPRがデジタルマーケティングを後押しする?

GDPR規制によって自社サイト上で獲得できるリードの総数は確かに減少してしまうかもしれませんが、「総数」のように目立つ数値だけに固執するのは、リード ジェネレーションを展開する上ではいささか短絡的だと言わざるを得ません。

より詳細に注意を払ってリード ジェネレーションを捉えるためには、自社特有のコンバージョンの仕組みをしっかりと反映させることが必要です。自社サイト上でのリード ジェネレーションの最終目標が、ユーザーに何かを購入させるなら、製品やサービスを購入する可能性が最も高いユーザーとのやり取りに集中することがより重要になるでしょう。実は、GDPRの規制はデジタルマーケティングが掲げる目標と一致しています。「何らかのオファーがある場合ユーザーが通知を受けることを希望するかどうか」を、ユーザーが明示的に選択することを義務付けることによって、結果的に「通知を受けることを希望する」と選択したユーザーは、より購入意図の高いリードであると判断することができるからです。販売ファネル最上部に当たるリードの総数は確かに減少したかもしれませんが、このようにより購入意図の高いリードを囲い込むことによって、より最終コンバージョンつなげられる可能性が高まります。GDPRによって、デジタルマーケティング戦略の透過性を高めるだけでなく、結果的にデジタルマーケティング戦略がより効率的に改善されるわけです。さらに、エンゲージメントの高いリードを囲い込むことによって、今後の販売促進活動も展開しやすくなることでしょう。

つまり、販売ファネル上部のリード総数は減少するかもしれませんが、リードに対するコンバージョンは増加する可能性が高く、最終的に自社サイトのリード ジェネレーション戦略における成約率も高まるでしょう。

自社サイトでGDPRを遵守するには?

現時点で世界中の企業各社の大半はGDPRの基準を満たしています。それが原因で、冒頭で説明したようなプライバシーに関する方針の変更を知らせるメールが大量に出回っているような事態になっているわけです。これに関して、たとえ現状で基準を満たしていたとしても、念には念を入れて自社サイトでGDPR基準がしっかりと守られているか確認しましょう。自社サイト上で特に注目が必要な重要なポイントを以下にご紹介します。

  1. ウェブフォームの形式を見直す:
    サイトオーディットを実施して、現在自社サイト上で使用されているフォームを明らかにし、ボタンやチェックボックスを使用してユーザーにとって選択肢が明確に分かるような説明文と共にオプトイン型の選択肢を設けましょう。
  2. プライバシーに関する方針を更新する:
    SaaSプラットフォームなどを扱う企業の場合、法律担当チームと連携をとってGDPRの条件を満たすよう自社サイト上のプライバシーを更新することが極めて重要になるでしょう。まだ対策を実施していない場合は、なるべく早急に全顧客を対象に、自社サイトの該当ページに直接アクセスできるリンクを含むメールを送信し、プライバシーに関する方針が変更された旨を通知しましょう。
  3. マーケティングにおけるオートメーション機能の設定を変更する:
    自社サイト上のウェブフォームが何らかのマーケティング用オートメーション プラットフォームに接続されている場合は、新しい選択肢を考慮に入れて、バックエンドのルールセットを更新することが極めて重要になります。例えば、前述のような選択肢を選択していないユーザーが、意図したリスト以外のリストに誤って追加されることがないよう何らかの条件を設けましょう。

次のステップ

今回の記事でご紹介したような対策を既に取られている場合は、一安心です。しかしまだ完全に対策が完了していない場合は、法律担当チームと連携してGDPR対策を早急にとることが極めて重要になります。GDPR対策はデジタルマーケティング対策や顧客にとってもプラスの結果をもたらすはずですので、是非迅速かつ適切なGDPR対策を行うことをお勧めします。

この記事は、法律に関して助言をするものではありません。

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